グレーゾーンの子が使える制度・サービス
「診断がつかない」「手帳がない」からといって、 支援が受けられないわけではありません。 ここでは、グレーゾーンの子どもが利用できる制度・サービスをまとめます。
「グレーゾーン」とは
「グレーゾーン」は医学用語ではありません。 発達障害の診断基準を完全には満たさないものの、 日常生活や学校生活で困難を抱えている状態を指す通称です。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- ・発達検査で「境界域」(IQ70〜85程度)に該当し、知的障害の基準は満たさない
- ・ASD、ADHD、LDの傾向はあるが、診断基準のすべてを満たすわけではない
- ・環境によって困難の程度が変わるため、一律に診断しにくい
- ・年齢が低く、まだ判断がつかない段階(「様子を見ましょう」と言われた)
診断がつかなくても困っている事実は変わりません。 利用できる制度・サービスは想像以上に多くあります。
手帳がなくても使えるサービス
児童発達支援と放課後等デイサービスは、 手帳がなくても医師の意見書があれば利用できます。
児童発達支援
未就学児(0〜6歳)通いで療育を受けるサービスです。ことばの遅れ、集団生活の苦手さ、感覚過敏などに対する個別・小集団での支援を受けられます。3〜5歳は無償化の対象です。
- 利用方法
- 手帳がなくても、医師の意見書があれば受給者証を取得して利用できます。自治体の窓口に相談してください。
- 費用
- 3〜5歳: 無料(無償化)。0〜2歳: 世帯年収に応じて月額0〜37,200円
放課後等デイサービス
就学児(小学生〜高校生)放課後や休日に療育を受けるサービスです。学習支援、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、運動プログラムなど、事業所によって内容は様々です。
- 利用方法
- 手帳がなくても、医師の意見書があれば受給者証を取得して利用できます。
- 費用
- 世帯年収に応じて月額0〜37,200円
※ 「医師の意見書」は診断書とは異なります。「この子には療育が必要」という趣旨の意見書を主治医やかかりつけ医に書いてもらいます。
手帳がなくても申請できる手当
特別児童扶養手当
1級: 月額58,450円、2級: 月額38,930円(2025年度)
- ポイント
- 手帳の有無は問いません。医師の診断書をもとに審査されます。発達障害の診断がなくても、「日常生活に著しい制限を受ける状態」と認定されれば支給対象になります。
- 注意点
- 審査は診断書の内容に大きく左右されます。主治医に日常生活での困難さを具体的に伝えたうえで、診断書を作成してもらうことが重要です。所得制限があります。
※ 詳しくは「特別児童扶養手当の申請」をご覧ください。
学校で受けられる支援
通級指導教室
通常学級に在籍したまま、週1〜8時間の個別指導を受けられます。LD(学習障害)、ADHD、自閉症などが対象で、診断がなくても教育委員会の判断で利用が認められる場合があります。コミュニケーション、学習方法の工夫、感情コントロールなどを指導します。
合理的配慮
2016年の障害者差別解消法の施行により、学校は合理的配慮を提供する義務があります(公立学校は法的義務、私立学校は2024年4月から義務化)。診断や手帳がなくても、困難がある場合は配慮を求めることができます。
- ・座席を前方や刺激の少ない場所にする
- ・板書の代わりにプリントを配布する
- ・テストの時間延長や別室受験
- ・口頭での指示に加えて視覚的な手がかりを示す
- ・クールダウンのための一時退室を認める
自治体独自のサポート
以下は多くの自治体で実施されている支援です。 名称や内容は自治体によって異なるため、 お住まいの自治体の窓口に確認してください。
発達支援センター(発達相談窓口)
多くの自治体が設置している相談窓口です。発達に関する相談、発達検査の実施、療育機関の紹介などを無料で行っています。「診断がないけど心配」という段階から相談できます。
ペアレントトレーニング
保護者が子どもとの関わり方を学ぶプログラムです。発達支援センターや医療機関で実施されています。診断の有無を問わず参加できる場合が多いです。全6〜10回程度のグループプログラムが一般的です。
ペアレントメンター
発達障害のある子どもの子育て経験がある保護者が、同じ立場の保護者の相談に乗る仕組みです。都道府県や市区町村の事業として実施されています。
巡回相談
心理士や発達の専門家が保育園・幼稚園・学校を訪問し、保育者・教員に対して支援方法を助言する仕組みです。保護者が直接依頼するのではなく、園や学校を通じて利用します。
子育て支援センター・家庭支援センター
障害に特化した窓口ではありませんが、育てにくさや発達の心配について相談できます。専門機関の紹介を受けられる場合もあります。
「診断を受けるべきか」の判断ポイント
診断を受けるかどうかは保護者が決めることです。 以下の質問に当てはまる場合は、医療機関への受診を検討してみてください。
日常生活で本人が困っているか
園や学校で友達とのトラブルが多い、授業についていけない、パニックが頻繁にあるなど、本人が困っている場合は受診の検討をおすすめします。
福祉サービスを利用したいか
児童発達支援や放課後等デイサービスを利用するには、医師の意見書(または診断書)が必要です。サービス利用を考えている場合は受診が必要になります。
手当を申請したいか
特別児童扶養手当の申請には医師の診断書が必要です。経済的な支援が必要な場合は、まず医療機関を受診する必要があります。
学校での支援を充実させたいか
診断があると、通級指導教室の利用や合理的配慮の申請がスムーズになります。診断がなくても配慮を求めることは可能ですが、根拠があるほうが学校側も対応しやすいです。
保護者自身が子どもの特性を理解したいか
発達検査を受けることで、お子さんの得意なところと苦手なところが客観的にわかります。支援の方向性を考える材料になります。診断の有無にかかわらず、検査だけ受けることも可能です。
「診断を受ける=レッテルを貼られる」ではありません。 診断は支援を受けるための手がかりであり、 お子さんの特性を理解し、適切な環境を整えるためのツールです。 迷う場合は、まず発達支援センターや保健センターに相談するところから始められます。