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発達検査の種類と結果の読み方

発達検査・知能検査は、お子さんの得意なところと苦手なところを客観的に把握するための検査です。 ここでは、主な検査の種類、結果に出てくる数値の意味、検査を受けられる場所と費用をまとめています。

主な検査の種類

WISC-V(ウィスク・ファイブ)

対象年齢: 5歳0か月〜16歳11か月

何を測る検査か
世界的に広く使われている知能検査です。全体的な知的能力(FSIQ)に加え、言語理解・視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度の5つの指標を測定します。
結果の見方
FSIQ(全検査IQ)と5つの指標得点が算出されます。平均が100、標準偏差が15です。指標間の差(ディスクレパンシー)が大きい場合、得意・不得意の凸凹があるとされます。
ポイント
学齢期で最もよく使われる検査です。2022年に日本版が刊行されました(WISC-IVから改訂)。学校での支援計画や、手帳の判定にも用いられます。

田中ビネー知能検査V(たなかビネーちのうけんさファイブ)

対象年齢: 2歳〜成人

何を測る検査か
日本で長く使われている知能検査です。年齢ごとの課題に取り組み、精神年齢と知能指数(IQ)を算出します。低年齢から実施できるのが特徴です。
結果の見方
IQ(知能指数)と精神年齢が算出されます。平均が100、標準偏差は約16です。14歳以上では偏差IQが用いられます。WISCと異なり、指標別の詳細な分析はありません。
ポイント
療育手帳の判定で使われることが多い検査です。全体的な知的水準を把握するのに適していますが、認知の凸凹の詳細を見たい場合はWISCやKABC-IIと併用されることがあります。

新版K式発達検査2020

対象年齢: 0歳〜成人

何を測る検査か
乳幼児から実施できる発達検査です。「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3領域を評価し、発達指数(DQ)を算出します。
結果の見方
DQ(発達指数)が算出されます。100を平均とし、各領域ごとの発達年齢と発達指数がわかります。IQとは異なる指標ですが、数値の意味は似ています。
ポイント
0歳から実施できるため、乳幼児期の発達評価に適しています。保健センターや児童相談所(じどうそうだんじょ)での発達相談でよく使われます。2020年に改訂版が刊行されました。

KABC-II(ケーエービーシー・ツー)

対象年齢: 2歳6か月〜18歳11か月

何を測る検査か
認知処理能力と学力(習得度)の両方を測定できる検査です。「継次処理」「同時処理」「計画能力」「学習能力」の4つの認知尺度と、「語彙」「読み」「書き」「算数」の習得尺度で構成されます。
結果の見方
認知総合尺度と習得総合尺度がそれぞれ算出されます。平均100、標準偏差15です。認知能力と学力の差から、学習障害(LD)の評価にも活用されます。
ポイント
「頭ではわかっているのに学力が伸びない」といったケースの分析に適しています。WISCと併用して多角的に評価することもあります。

IQ・DQの数値の意味

IQ(知能指数)やDQ(発達指数)は、同年齢の集団の中でどの位置にいるかを示す数値です。 平均が100になるように設計されています。

数値分類
130以上非常に高い
120〜129高い
110〜119平均の上
90〜109平均
80〜89平均の下
70〜79境界域(きょうかいいき)
69以下知的障害の範囲

※ 上記はWISC等の標準偏差15の場合。田中ビネーは標準偏差が約16のため、境界値が若干異なります。

「プロフィールの凸凹」とは

WISCやKABC-IIでは、全体のIQだけでなく、複数の指標ごとの得点が出ます。 この指標間に大きな差がある状態を「プロフィールの凸凹(でこぼこ)」と呼びます。

たとえば、WISCで言語理解が120、処理速度が80の場合、「ことばで考える力は高いが、 作業のスピードは苦手」という特徴がわかります。 この差が15〜20以上ある場合、日常生活や学習で困難が生じやすいとされています。

凸凹があること自体が「異常」ではありません。 得意なところを活かし、苦手なところに配慮や支援を入れるための手がかりとして使います。

数値だけで判断しないことが重要です

検査の数値はあくまで「ある時点での、ある側面の評価」です。 以下の点に留意してください。

  • 体調や気分、検査時の環境によって結果が変動することがあります。
  • IQ/DQの数値だけでは、日常生活での困り具合はわかりません。適応行動(日常生活でどれだけ自立しているか)の評価も重要です。
  • 検査結果は「この子にはこの数値」と固定されるものではなく、成長や環境によって変化します。
  • 結果を受け取ったら、数値だけを見るのではなく、検査者からの所見(行動観察や解釈)をよく聞いてください。

検査を受けられる場所と費用

児童相談所(じどうそうだんじょ)

無料

療育手帳の判定のための検査が中心。予約制で、数週間〜数か月待ちの場合がある。

市区町村の発達支援センター

無料〜低額

発達相談の中で検査を実施してもらえる場合がある。自治体によって対応が異なる。

医療機関(小児神経科・児童精神科)

数千円〜数万円

保険適用の場合は自己負担3割(小学校就学前は2割)。自費の場合は1万〜3万円程度が目安。診断書の発行料が別途かかる場合がある。

民間の心理相談室

1万〜3万円程度

保険適用外(自費)。待ち期間が短い傾向がある。結果は医療機関や学校に提出できるが、診断はできない(診断は医師のみ)。

※ 発達検査の待ち時間は地域によって大きく異なります。半年以上待つ地域もあるため、早めの予約をおすすめします。