← テーマ別記事に戻る
発達障害の診断(何科・流れ・費用)
「うちの子、発達障害かもしれない」と思ったとき、どこで診断を受けられるのか、 何をするのか、いくらかかるのか。診断までの流れと費用の目安をまとめています。
どこで受けられるか
発達障害の診断ができるのは医師のみです。以下のような診療科で診断を受けられます。
小児科(発達外来)
かかりつけの小児科に発達外来がある場合、最初の相談先として入りやすい。軽度の発達の遅れや発達障害の初期評価を行うことが多い。
児童精神科
子どもの精神・行動面の専門科。ASD、ADHD、情緒障害、不安障害などの診断・治療を行う。予約待ちが長い傾向がある。
小児神経科
脳・神経系の発達を専門に診る科。てんかんの合併や、運動発達の遅れがある場合に適している。
発達外来(専門クリニック)
発達障害の診断を専門に行うクリニック。検査体制が整っている場合が多いが、地域によっては少ない。
まず相談したい場合: いきなり専門医を予約するのが不安な場合は、市区町村の発達支援センターや保健センター、 かかりつけ小児科に相談すると、適切な医療機関を紹介してもらえます。
初診までの待ち時間
一般的な待ち時間
3〜6か月
地域や医療機関による
児童精神科や発達外来は全国的に需要が高く、初診まで数か月待ちが一般的です。 都市部では半年〜1年待ちの医療機関もあります。
- 気になったら早めに予約だけ入れておくのが重要です
- 待っている間に市区町村の発達相談を利用することもできます
- 紹介状があると予約が取りやすくなる場合があります
診断の流れ
1
問診(もんしん)
生育歴(妊娠・出産の経過、首すわりや歩き始めの時期等)、現在の困りごと、家庭や園・学校での様子などを医師に伝えます。事前に記入する問診票がある場合も多いです。
2
発達検査・知能検査
心理士が検査を実施します。検査は別日に予約が必要なことが多く、所要時間は1〜2時間程度。検査の種類は年齢や目的に応じて医師が選びます。
3
行動観察
診察室や検査中の子どもの様子(視線の合い方、指示への反応、集中の持続、対人関係のパターンなど)を医師や心理士が観察します。
4
診断
問診・検査結果・行動観察を総合して、診断名がつく場合とつかない場合があります。初回で確定せず、経過観察になることもあります。結果の説明は30分〜1時間程度かけて行われるのが一般的です。
よく使われる検査
どの検査を使うかは、年齢や目的に応じて医師が判断します。 複数の検査を組み合わせて実施することもあります。
WISC-V(ウィスク・ファイブ)
対象: 5歳〜16歳知能検査。言語理解・視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度の5指標を測定。認知の凸凹を把握できる。
田中ビネー知能検査V
対象: 2歳〜成人知能検査。全体的なIQと精神年齢を算出。療育手帳の判定でよく使われる。
新版K式発達検査2020
対象: 0歳〜成人発達検査。姿勢・運動、認知・適応、言語・社会の3領域で発達指数(DQ)を算出。乳幼児期の評価に適している。
ADOS-2(エイドス・ツー)
対象: 1歳〜成人自閉スペクトラム症(ASD)の診断補助のための行動観察検査。構造化された場面で社会的コミュニケーションや行動パターンを評価する。
Vineland-II 適応行動尺度
対象: 0歳〜92歳保護者への聞き取りにより、日常生活での適応行動(コミュニケーション、日常生活スキル、社会性、運動スキル)を評価する。
※検査について詳しくは発達検査の種類と結果の読み方をご覧ください。
費用の目安
発達障害の診断は保険適用です。3割負担(未就学児は2割負担)で受けられます。 自治体の子ども医療費助成の対象になる場合は、自己負担がさらに軽減されます。
| 項目 | 費用目安(3割負担) |
|---|---|
| 初診料 | 2,000〜5,000円程度 |
| 発達検査 | 5,000〜15,000円程度 |
| 診断書の作成 | 3,000〜10,000円程度 |
| 再診料 | 500〜2,000円程度 |
※診断書の作成は保険適用外(自費)の医療機関が多いです。 用途(手帳申請用、受給者証用など)によって様式や料金が異なります。
主な診断名
ASD(自閉スペクトラム症)
社会的コミュニケーションの困難さ、限定された興味・反復的な行動が特徴。以前の「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」を含む。
ADHD(注意欠如・多動症)
不注意(集中が続かない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考える前に行動する)が特徴。不注意優勢型、多動・衝動優勢型、混合型がある。
LD / SLD(限局性学習症)
知的能力に遅れはないが、読み・書き・計算など特定の学習領域に著しい困難がある。学齢期に顕在化することが多い。
知的障害(知的発達症)
知的機能(IQ)と適応行動の両方に制限がある状態。発達期(18歳未満)に発症。軽度・中等度・重度・最重度に分類される。
DCD(発達性協調運動症)
運動の協調(手先の器用さ、バランス、ボールの操作等)に著しい困難がある。不器用さや運動の苦手さとして現れる。
※複数の診断が併存することもあります(例: ASD + ADHD、ADHD + DCD など)。
診断後にできること
診断を受けたことで、利用できる制度やサービスが広がります。 診断がゴールではなく、支援につなげるためのスタートです。
障害者手帳の申請
精神障害者保健福祉手帳、療育手帳(知的障害がある場合)の取得で各種割引・減免が受けられる。
受給者証の申請
通所受給者証を取得すれば、児童発達支援や放課後等デイサービスを1割負担で利用できる。
特別児童扶養手当の申請
障害の程度によっては月額38,930〜58,450円の手当を受給できる可能性がある。
学校での合理的配慮の依頼
診断書をもとに、通級指導教室の利用や個別の支援計画の作成を学校に依頼できる。
療育・リハビリの開始
児童発達支援事業所での療育、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)などを受けられる。
セカンドオピニオンについて
診断結果に疑問や不安がある場合、別の医師の意見を聞くこと(セカンドオピニオン)ができます。
- セカンドオピニオンは患者の権利であり、遠慮する必要はありません。
- 可能であれば、初回の検査結果や紹介状を持参すると、改めて検査を受け直す負担が減ります。
- 医師によって診断基準の解釈が異なることがあるため、特に「診断がつかなかったが困りごとがある」「診断名に納得がいかない」場合は検討してもよいでしょう。
- ただし、複数の医療機関で異なる診断が出た場合、どちらが正しいかを判断するのは難しいこともあります。 信頼できる医師と継続的に相談することが重要です。
出典・参考
- 厚生労働省 — 発達障害者支援施策
- 発達障害情報・支援センター
- こども家庭庁 — 障害児支援施策
- 日本小児神経学会 — 発達障害診療ガイドライン