特別支援学級と通級指導教室の違い
「支援学級」と「通級」はどちらも障害のある子どもへの学校教育の仕組みですが、 在籍の仕方、授業の受け方、進路への影響が大きく異なります。 ここでは両者の違いを整理し、どちらが向いているかの判断ポイントをまとめます。
特別支援学級とは
特別支援学級(支援級)は、通常の学校内に設置される少人数の学級です。支援学級に在籍し、個別の教育支援計画・指導計画に基づいた指導を受けます。通常学級との交流(交流級)の時間もあります。
※ 2024年時点で約39.5万人が在籍。10年で約2.15倍に増加しています。
通級指導教室とは
通級指導教室(通級)は、通常学級に在籍したまま、週1〜8時間だけ別室で専門的な個別指導を受ける仕組みです。授業の一部を抜けて通級教室に通います。
通級の3つの形態
自校通級
自分の学校内に通級教室がある。移動の負担がなく、最も利用しやすい形態
他校通級
近隣の学校に設置された通級教室に通う。移動の時間と保護者の送迎が必要な場合がある
巡回指導
通級の教員が児童の在籍校を訪問して指導する。移動の負担がなく、近年増加傾向
※ 2023年度時点で約20万人が利用。増加傾向にあります。
比較表
| 項目 | 特別支援学級 | 通級指導教室 |
|---|---|---|
| 在籍 | 特別支援学級に在籍 | 通常学級に在籍 |
| 授業時間 | ほぼ全時間を支援学級で過ごす(交流級の時間あり) | 週1〜8時間のみ通級教室。残りは通常学級 |
| 1学級の人数 | 8人以下 | 個別〜数人の小集団指導 |
| 対象障害 | 知的障害、肢体不自由、病弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害 | 言語障害、自閉症、情緒障害、LD、ADHD、弱視、難聴 |
| 教育課程 | 個別の指導計画に基づく(下学年の内容も可) | 通常学級の教育課程+自立活動 |
| 内申点(中学) | 支援学級独自の評価。一般的な内申点はつかない場合が多い | 通常学級の評価基準で内申点がつく |
| 卒業証書 | 同じ学校の卒業証書が出る(通常学級と同じ) | 通常学級と同じ卒業証書 |
| 高校受験 | 内申点がつかない場合、全日制高校の受験は不利になることがある | 通常学級と同じ条件で受験可能 |
どちらが向いているかの判断ポイント
支援学級が向いているケース
- ・通常学級の授業ペースについていくのが難しい
- ・少人数でないと集中できない、パニックが起きやすい
- ・生活面(着替え、排泄、食事)にも支援が必要
- ・知的障害を伴う
- ・個別のペースでじっくり学ぶほうが力を伸ばせる
通級が向いているケース
- ・通常学級での授業に概ね参加できる
- ・特定の苦手さ(読み書き、コミュニケーション等)への個別指導が必要
- ・通常学級の友人関係を維持したい
- ・知的な遅れはないが、発達特性による困難がある
- ・週に数時間の指導で改善が見込める
判断に迷う場合は、就学相談や教育委員会、学校の特別支援コーディネーターに相談してください。 実際の授業を見学することで、お子さんに合う環境がわかりやすくなります。
途中での変更
入学後に支援学級と通常学級の間で転籍したり、 通級の利用を開始・終了することは制度上可能です。
支援学級 → 通常学級
支援学級で力がついてきた場合に、通常学級への転籍が可能です。まず交流級の時間を増やし、通常学級での適応を確認したうえで移行するケースが多いです。担任→校内委員会→教育委員会への報告が必要です。
通常学級 → 支援学級
通常学級での学習・生活が難しくなった場合に、支援学級への転籍を相談できます。保護者の申出→担任・特別支援コーディネーター→教育委員会という流れで手続きします。年度途中でも可能な自治体と、学期・年度の切り替わりに限る自治体があります。
通級の開始・終了
通級指導は、必要がなくなれば終了できます。逆に、通常学級で困難が出てきた場合に途中から通級を開始することも可能です。教育委員会への申請が必要です。
中学・高校進学への影響
中学進学
小学校の支援学級から、中学校の支援学級にそのまま進むケースが多いです。中学から通常学級に変更することも可能ですが、学習面のギャップに注意が必要です。
通級利用は中学校でも継続可能です。中学校に通級教室がない場合は、他校通級や巡回指導になります。
高校進学
支援学級で内申点がつかない場合、全日制高校の一般受験は難しいことがあります。特別支援学校高等部、通信制高校、定時制高校、チャレンジスクール等が主な進学先になります。
内申点は通常学級と同じ基準でつくため、高校受験への直接の影響はありません。高校にも通級指導の制度があります(2018年度から開始)。