やさしい窓口障害のある子どもが利用できる制度・手当ガイド
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就学相談の流れと準備

就学相談は、障害のある子どもの小学校入学にあたって、 どの学びの場が適しているかを保護者と教育委員会が一緒に考えるための仕組みです。 年長の春から始まり、秋〜冬に就学先が決まります。

就学相談とは

就学相談は、市区町村の教育委員会が実施する制度です。 障害のある子ども(またはその可能性がある子ども)が、 通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校のうち、 どこで学ぶのが適切かを総合的に判断するために行われます。

面談、発達検査、行動観察などを通じて、 お子さんの発達の状態や必要な支援を把握します。 保護者の意向は最大限尊重されます(学校教育法施行令第18条の2)。

就学相談を受けるかどうかは任意ですが、 特別支援学級や特別支援学校への就学を希望する場合は就学相談が必要です。

スケジュール

1
情報収集・申込み
年長の4〜6月

市区町村の教育委員会に就学相談を申し込みます。保育園・幼稚園・療育機関から案内される場合もあります。申込みの時期は自治体によって異なるため、年長の春になったら早めに問い合わせてください。

2
面談・発達検査・行動観察
7〜9月

教育委員会の担当者との面談、知能検査(WISC-V、田中ビネーなど)の実施、お子さんの行動観察が行われます。複数回にわたることもあります。

3
学校見学・体験入学
9〜10月

特別支援学級や特別支援学校を見学します。お子さんを連れて実際の授業の様子を見たり、体験入学に参加できる場合もあります。

4
就学支援委員会で審議
10〜11月

教育委員会に設置された就学支援委員会(名称は自治体により異なる)が、検査結果・面談内容・行動観察・保護者の意向を総合的に審議します。

5
結果通知
10〜12月

就学先の判定結果が保護者に通知されます。結果に納得できない場合は、再度面談を申し入れることができます。

6
就学通知書の送付・入学準備
翌年1月末

就学先が正式に決定し、就学通知書が届きます。入学準備が始まります。

※ スケジュールは自治体によって異なります。年長の春になったら教育委員会に問い合わせてください。

準備するもの

発達検査・知能検査の結果

過去に受けた検査があれば持参します。検査結果がない場合は、就学相談の中で実施されます。

医師の診断書・意見書

発達障害や疾患の診断を受けている場合は、主治医の診断書や意見書を用意します。

障害者手帳・療育手帳

取得している場合はコピーを持参します。手帳がなくても就学相談は受けられます。

園の先生の意見・記録

保育園・幼稚園での様子を書いた書面(生活の記録、連絡帳など)があると参考になります。事前に園の先生に相談しておくとスムーズです。

保護者の希望・困りごとのメモ

「こういう環境で学ばせたい」「こういう場面で困っている」など、保護者の考えを整理しておきます。面談は限られた時間なので、事前にメモを作っておくと伝え漏れを防げます。

面談で聞かれること

  • 生育歴(首すわり・歩行・発語の時期など)
  • 日常生活の様子(食事・着替え・排泄の自立度)
  • コミュニケーションの状態(言葉の理解、指示の通り方)
  • 集団生活での様子(園での友人関係、行事への参加)
  • こだわりや感覚過敏の有無
  • 困っていること、配慮してほしいこと
  • 保護者が希望する就学先とその理由

行動観察で見られること

面談とは別に、お子さんの行動を直接観察する場が設けられます。 小グループでの活動や、個別の課題に取り組む様子が観察されます。

  • 指示の理解と行動(「座ってください」に従えるか)
  • 課題への取り組み方(集中できる時間、切り替えの力)
  • 他の子どもとの関わり方
  • 身体の動き(粗大運動・微細運動)
  • 感情のコントロール

就学先の選択肢

通常学級

35人学級で全員が同じカリキュラムを学びます。合理的配慮(座席の配慮、板書の補助など)を受けることは可能です。

通級指導教室

通常学級に在籍しながら、週1〜8時間、別室で個別の指導を受けます。通常学級での授業を大部分受けられるため、友人関係を維持しやすいのが特徴です。

特別支援学級

1学級8人以下の少人数で、個別の教育支援計画に基づいた指導を受けます。地域の学校に設置されており、通常学級との交流(交流級)もあります。

特別支援学校

障害の程度が比較的重い子が対象です。1学級6人以下、教員2人体制で、自立活動を中心とした専門的な指導を受けます。スクールバスでの送迎があります。

※ 各選択肢の詳しい比較は「小学校の選択肢と就学相談の流れ」をご覧ください。

教育委員会の判断と異なる場合

2013年の学校教育法施行令の改正により、就学先の決定は 「障害の程度で自動的に振り分ける」方式から 「本人・保護者の意見を最大限尊重し、総合的に判断する」方式に変わりました。

判定結果と保護者の希望が異なる場合は、再度の面談が行われます。 保護者は自分の考えを改めて伝えることができます。

最終的な決定権は教育委員会にありますが、 実際には保護者の意向に反する決定は少ないです。 納得できない場合は、教育委員会に理由の説明を求めることができます。

入学後に変更できるケース

就学先は一度決めたら変えられないわけではありません。 お子さんの成長や状況の変化に応じて、学びの場を変更することは制度上可能です。

通常学級 → 特別支援学級

通常学級での学習が難しくなった場合に、同じ学校内の支援学級に転籍できます。担任・保護者の相談→校内委員会→教育委員会の手続きを経て移ります。学期の切り替わりに合わせることが多いです。

特別支援学級 → 通常学級

支援学級で力がついてきた場合に、通常学級に移ることができます。交流級での様子を見ながら、段階的に通常学級での時間を増やしていくケースが一般的です。

通常学級・支援学級 → 特別支援学校

小学校での学習・生活が難しい場合に、特別支援学校への転学を相談できます。教育委員会への転学相談→審議→決定という流れになります。

特別支援学校 → 通常学級・支援学級

特別支援学校から地域の小学校への転学も制度上は可能です。教育委員会に相談し、受け入れ校の体制が整えば移ることができます。

※ 転籍・転学の時期や手続きは自治体によって異なります。まずは担任または教育委員会に相談してください。

出典・参考